バングラデシュ米袋の魅力

バングラデシュの米袋に描かれるのは、田植えや精米作業をする人、国を象徴するベンガルタイガー、川イルカなど様々。これらの絵柄に加えて派手な広告文字や皿に盛られたビリヤニ、チキンカレーなどの写真が加わり袋全体を埋め尽くします。そのダイナミックで奇抜な構図や派手な色使いにバングラデシュらしさが溢れています。庶民が買い物をする市場やスーバーでは、コメは量り売り、あるいは、小さな袋詰めで売られているので、カラフルな米袋が店頭に並ぶことはほとんどありません。つまり袋の図柄は一般消費者を意識した広告でも宣伝でもなく、コメ業者が収穫・精米を終えたコメの運搬や保管に使うものなのです。単なる運搬用の袋にこれほどまでに個性的でカラフルな絵柄を付けるということが、もはや驚きでしかありません。

バングラデシュの国民一人当たりのコメ消費量は世界一、なんと日本の4倍!(2015年統計より)。おコメを作る人、売る人、食べる人・・・そして、米袋を作る人、運ぶ人、とにかく一億数千万の国民が日々コメとともに生きているわけです。

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(市場の店先に並ぶコメと豆)

さて、「コメ」とともにバングラデシュを象徴するのが「リキシャ」です。リキシャには絵を描く職人さんがたくさんいて「リキシャアート」という分野を担っていました。ところが最近では政府によるリキシャへの規制が厳しくなり、営業区域の規制や一部で色の統一が行われ、特に都市部ではリキシャアートの職人たちの活躍の場が少なくなってしまいました。

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 ( 黄色に統一されたダッカ バリダラ地区のリキシャ)

とはいえ、リキシャは依然として都市部でも農村部でも庶民の足。リキシャの運転手(リキシャワラ)、リキシャのオーナー、リキシャに乗る人、部品を作る人、修理する人、ペインティングする人・・・コメと同様に一億数千万人の国民にとってリキシャはなくてはならない交通手段であり、生活の一部であり、生活の糧なのです。

こうしてみると、インドを含めたベンガル地方のペインティング文化は宣伝効果とか芸術性とかそういった事とは別の次元で、人々の日常生活の中で「コメ」や「リキシャ」とともに脈々と生き続けていると思うのです。

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(リキシャアート作家 Mr. Malekの作品)

環境問題から世界ではプラスチック製レジ袋の使用を禁止する動きがあります。EUやフランスでのプラスチック製使い捨て容器の使用禁止や法案施行のニュースは耳に新しい出来事です。  

バングラデシュでもプラスチック製品の不使用については進んだ施策が進められています。ダッカの多くのスーパーではプラスチック製のレジ袋ではなく不織布のバッグが使用されています。また、政府は主要産物であるジュートの使用を推し進めていて、米袋についてもジュートの使用を呼びかけています。つまり、現在まだ出回っているプラスチック繊維の米袋は、いずれ姿を消すことになるかもしれません(ジュート製の袋にはほとんど文字や絵が描かれていません)。環境のことを考えればやむを得ないことですが、リキシャや米袋に描かれる豊かなペインティング文化がなくなっていくのは寂しい限りです。

いずれは消えてしまうかもしれないプラスチック繊維の米袋ですが、女性ワークグループによって作られる個性豊かなバングラデシュ米袋バッグをたくさんの日本のみなさんにも使っていただければ、とてもうれしく思います。

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